Paper-Chase's Prayer

コンサル&外資系金融での実務経験をもとにビジネス・仕事術系の雑感を書いていきます。

ロジカルシンキングの敗北

数日前、この記事が話題になっていました。

togetter.com

ブラック系コンビニオーナーと雇われ店長の攻防の話で、もうとにかく「これはひどい」としか言えない内容で、リンク先のマンガをぜひ読んでいただきたいのですが、記事タイトルにもなっているこの(ブラックオーナーの)発言を目にして、思うところがありました。

労働基準法なんて関係ないよ。だってその法律、経営者が損するばっかじゃん」

僕は研修やセミナーでロジカルシンキングを教えたり、少し本で書いたりもしていますが、この手の発言をする人には論理的な説明や説得が通用しないんですよね。たとえば

「いや、労働基準法を守らないと罰せられる可能性がありますよ」
「立ち入り調査や勧告によって業務が止まったりイメージダウンのリスクがあります」

などと言えば論理的(というか常識的ですが)な反論になります。しかし、そうしたところで

「そんなの知るか」とか、
「だから俺には関係ないんだってば」とか、
「そのときはそのときだ」とか、
「屁理屈言うな」

といった謎の返事が返ってくるだけでしょう。

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リンク先の記事の店長は、「労働基準法なんて」の発言を受けて呆気にとられてフリーズ(そして退職を決意)します。こういうナナメ上の主張をする相手には、マトモな説得は通じません。何を話しても徒労に終わります。

「この人には何を言っても無駄」
「この人には関わらないほうがいい」

よほど粘り強い人でない限りは、そう考えて説得や対話を諦めるでしょう。ナナメ上の人には論理や合理は通じない。僕はそれをロジカルシンキングの敗北」と呼んでいます。

ここ最近、ボクシングや体操の不祥事が社会問題になりました。またスルガ銀行など組織ぐるみの不祥事も起きています。推察するに、そういった組織のトップは高い確率で「通じない」タイプの人間だったのではないかと思っています。

最初は周囲が論理的合理的に提言・忠告する。しかし、ナナメ上のロジック(?)で潰される。だから心ある人ほど離れていきイエスマンだけが残る。そうして迷走・暴走する組織ができあがる。

ロジカルシンキングは大変有用なスキルです。実際、僕がいたコンサルティング会社や現職の金融機関では「根拠を持って話す」「事実と意見を区別する」「情報をモレなくダブりなく整理する」といったロジカルな姿勢を持っていなければ仕事は成り立ちません。

自分がいた組織では幸いにして多くの人がこれを習得していたので、大抵の場合、議論はスムーズにいきました。ロジカルシンキングはスキルではなくて言語である」と私は考えていますが、ロジカルシンキングという共通のプロトコルがあれば、たとえ対立や交渉の瞬間であっても建設的に話を進めることができます(まー、ロジカルシンキングができなくても「相手を尊重する気持ち」さえあればあまり変なことにはならないんですけどね)。

しかし時おり、「通じない」相手に出くわすこともあります。前述のような威圧的・暴君的なタイプのほか「ケムマキ君」(噛み合わない会話で煙に巻くタイプの人)も、とにかくエネルギーを使うのでやりとりを避けたくなるタイプです。

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ロジカルシンキングは、書籍やセミナーでも「戦略コンサルタントの最強の武器!」「ビジネスパーソンに不可欠な問題解決ツール!」みたいに煽るので、それさえ身につけば万能薬を手に入れたも同然みたいに捉える方も時たま見受けられます。

しかし、ある種の相手には別のアプローチが必要になるという意味で、ロジカルシンキングを学ぶ人に対して、それは万能ではないことを念押ししたほうがよいのではないかと私は思っています

別のアプローチというのは、たとえば「上の上から攻める」(例:課長に問題があるのならその上の部長に動いてもらう)こともあるでしょうし、「逃げの一手」もありえます。自分の精神衛生の維持や本来の能力の発揮のため、あるいは不祥事やトラブルに巻き込まれないためにも、「ロジカルが通じる環境に移る」のは妥当な手段、まさに「逃げるは恥だが役に立つ」です(同時に、かくして「憎まれっ子世にはばかる」が実現するわけですが)。

 ロジカルシンキングを教えるのは難しいので、教える側の私としてはたいていそれで力尽きてしまうことが多いのですが、それはあくまで車輪の一方でしかないんだよな、ということもちゃんと伝えておかねばと、このブラックオーナーのような話を聞くたびに改めて思うのです。

英会話スクールよりも効率的にスピーキング力を磨く「瞬間英作文」

1年ほど前、「TOKKUN ENGLISH」(今は改称して「PROGRIT」)という英語コーチングサービスを受けていました。簡単に言えば「英語版ライザップ」みたいなもので、週1回コーチの指導を受けながら日常生活の中で時間を見つけてガッツリ英語を学習するというものです。

www.progrit.co.jp

毎日3時間を2ヶ月間、というのはなかなか大変でしたが、そのおかげで英語学習が習慣化され、今でも毎日1~2時間の学習を続けています。自分の記録によれば、卒業後9ヶ月間での学習時間は600時間近くとなっています。

その中で得たものは多くありますが、今回は「スピーキング」の改善方法について述べたいと思います。

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入会の前に英語力の診断があります。自分はとにかくリスニングが苦手、だとは思っていましたが、スピーキングも相当ヤバい、ということがわかりました。

たとえば試験官に「では、自分の仕事について説明してください」と言われます。

しかし、"My job..is...umm..."みたいに、とにかく英語が口から出てきません。

SPM (Sentence per minute、1分あたりに口に出した文の数)という指標があるそうなのですが、自分は5~6だと言われました。ちなみにネイティブは(たしか)15 SPM、つまり4秒で1文といったスピードで話す、とのことです。

というわけで、学習計画にあたってはリスニング強化はもちろんのこと、スピーキング強化も入れることになりました。具体的には「瞬間英作文」というメソッドを紹介されました。

ベストセラーなのでご存知かもしれませんが、文字通り「日本語の文を見てすぐに英語で話す」という練習方法です。

たとえば

僕は今日の午後、彼に会う予定です。

なら、

I am going to meet him this afternoon.

と瞬時に置き換えていきます。

 

<使ったテキスト>

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入門書としてはこれ。

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https://www.amazon.co.jp/dp/4860641345

中学英語レベルですが、これをマスターするだけでも旅行会話くらいならいけるんじゃないでしょうか。


慣れてきたらこちら。

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https://www.amazon.co.jp/dp/4860641574/

文章が複雑になっていく分、力がつきます。後半は相当ハイレベルです。


さらにこちら。

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https://www.amazon.co.jp/dp/4863921098/

仕事で使えるフレーズが満載です。


これを最初のうちは1日1時間ずつ2ヶ月。その後は毎日30~15分で9ヶ月。


英語を話す練習をしたいなら英会話スクールに行く、という発想がまず浮かぶかもしれません。しかし、瞬間英作文は以下の点において英会話スクールよりも優れています。

  1. 安い:上記の本は約1500-2000円です。英会話を習うとスカイプ英会話でも月に4000-6000円するので、費用は段違いに抑えられます。私も上記の「英会話フレーズ ビジネス編」を10ヶ月近く、何十往復も、身体に染み込むほどに練習しています。
  2. どこでもできる:英会話はスクールや自宅など一定の場所で行う必要がありますが、瞬間英作文の練習は本まはたスマホがあればどこでもできます。私は通勤時にやっています。
  3. 学習時間をフルに自分のために使える:英会話レッスンは先生や他の受講者が話している時間もあるので、自分が話せる時間は減ります。たとえば60分のグループレッスンなら、自分が話している時間は実質10分とか15分になります。その点、瞬間英作文は60分そのすべてが自分のために使えます。


ただ、以下の点では英会話サービスに軍配が上がります。

  1. 実践力を磨ける:次々と変わる会話の流れに対処する、相手からの思いがけない質問に対してすぐに回答する、自分で質問を考えて言う、といった実践慣れのためには、やはり英会話レッスンが重宝します。
  2. 発音の矯正ができる:瞬間英作文は、当然、自分が一方的に話すものなので発音やアクセントがおかしくても直してくれる人はいません。その点ではプロの講師がいたほうがベターです。
  3. 楽しい:リアルな人との会話なので、楽しく学習できる点では対人のレッスンにはかないません。

よって、理想的なのは「瞬間英作文を毎日+ときどき英会話レッスン」のように組み合わせることです。実際、自分もスカイプ英会話(レアジョブ)を週2回やっています。

www.rarejob.com

ただし、瞬間英作文だけでも、スピーキングはそれなりに上達できるはずです。

「瞬間英作文と英会話レッスン」は、野球に例えれば「素振りと紅白戦」の関係みたいなものです。毎日の素振りで力を蓄えておくからこそ、紅白戦で活躍したり、本番で勝つための新たな課題を見つけたりできるわけです。予算や時間的に難しいようなら、英会話レッスンは最小限でよいと思います。


そして、この毎日の瞬間英作文が、非常に、非常に効果がありました。最初は英語になかなか変換できずに四苦八苦するわけですが、だんだんと「日本語を英語に置き換える脳内回路」ができあがってくるのです。教材に出てくる言い回しがスラスラ出てくるのはもちろんのこと、教材にない表現でも(変換回路ができあがっているので)瞬時に作って話せるようになっていきます。

1年前の自分は、会社の会議で英語で話すなんて絶対ありえない無理無理、通訳さんお願い! くらいのレベルでした。

しかし最近では、簡単な説明や質問なら英語で行っています。外資系なので米国本社スタッフとのコミュニケーションもスムーズになりますし、自分のことを覚えてもらえるようになります。まだ会議全体の1,2割程度ですが、海外のスタッフとリアルで英語でやりとりできるようになったのは本当に嬉しく、自分に起きた大きな成長を実感しています。

また、メールの返事を英語で書いたり、報告資料を英語で作るのも早くなりました。辞書を調べたり翻訳担当者に依頼して待つリードタイムがなくなり、結果として納期も短くなるので周囲に喜ばれます。これも、この1年、瞬間英作文を続けてきたおかげです。

英語で、言いたいことがすぐに口から出てこない、という方は、瞬間英作文メソッドをぜひお試しください。細く長い継続が必要になりますが、かといって↓みたいな美味い話は、絶対にありませんので…。

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次回以降は、リスニングの学習体験談を書きます。


宣伝。10/6 土曜日に「人狼研修」です。

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たまには大胆にウソをつきたい診断士の方へ

※2019年2月10日追記:次回は3月9日(土)午後@西日暮里になります。お申込みはこちらからどうぞ!

タスクール主催で初となる理論政策更新研修(中小企業診断士に定期受講を義務付けられている、知識補充のための研修)が去る8月6日に都内で行われました。

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私は「コミュニケーションゲームを通じた従業員評価手法」をテーマに登壇させていただき、理論研修での講師も初めてとなりましたが、どうにか無事に終えることができました。というかこちらの狙いどおり、非常な熱狂をもって終わらせることができました(ラスト45分は超熱戦でしたね>受講者各位)。

研修の内容についてはタスクール理論研修のHP(またはこちらの過去記事参照)にて記載のとおり、「コミュニケーションのゲームを用いて社員のスキルを評価する手法を体験し学ぶ」というものです。

このゲーム(「人狼」と言えば分かる方もいると思います)はシンプルかつ奥が深く、ビジネスにも通じるスキルの発揮が求められるため、楽しみながら多くの気づきを得ることができます。

つまり、

  • 4時間飽きずに受講できる
  • 人材スキルの評価手法が学べる
  • 自分のスキルの強みや課題に気づける

といった点が本研修から得られるベネフィットです。

ただ、これを開発・実施する中で、さらに大きなベネフィットがあるなと気づきました。それは

  • 堂々をウソをつける

というものです。

このゲームでは人狼役になった人は、ウソをつき通さなければなりません。大きくは人狼チームと市民チーム(要はモンスター VS 人間)に分かれるのですが、人狼役は徹底して市民のフリをしなければなりません。

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ウソをつかなければならない、というか、ウソが上手いほど勝てるゲーム、ウソが匠みなほど周囲からリスペクトされるゲームです。また、市民チームでも一部の方(「預言者」「ボディーガード」という特殊な役職の方)は、しばらく自分の正体を隠しておく(そしてここぞというタイミングで明かす)必要があります。その点でも一般人のフリをするスキルが求められます。


なぜこのゲームが世界中で愛され、そしてこの理論研修でも盛り上がるのか。それは前述のとおり「シンプルさ」「奥の深さ」が挙げられますが、加えて「堂々をウソをつけることの快楽」にあるのかもしれません。

私達、特に中小企業診断士のような高潔さ、清廉潔白さが求められる職業では「ウソ」をつくことは決して許されません。特にインターネットやSNS全盛の昨今、不正や隠し事の多くは容易に暴かれ、多くの人に伝播し、そうして当人や診断士そのものに対する信頼が失われます。だから私達は、正直に、真摯に、誠実に、目の前の仕事に取り組んでいく必要があります。

しかし一方で、いい人であり続けるのもラクなことではありません。時にはハメを外したくなります。自分じゃない自分を演じてみたくなることもあります。ウソをついてバレるかバレないかのスリルを味わいたい、そう思うこともあります。

まあ、診断士も万単位で存在していますので、プライベートでウソをつきまくっているゲスな人も中にはいるかもしれませんが…そうでない大多数の方にとっては、この研修はある種のリフレッシュの場になると、私は考えています。

後ろめたさを抱えることなくウソをつきまくりたい方にはぜひオススメの研修です。しかも、仮にウソがばれたとしても、ゲームで負けるだけです。何も失うものはないのです。ジェットコースターと同じで「スリルがあるけど安全」な空間です。

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次回は10月6日(土曜)午後、神田近辺での開催です。すでに数名の参加希望をいただいていますが、(8月25日現在)まだ席はあります。「診断士版ライアーゲーム」へのご参加を、ぜひお待ちしています。東京以外での開催も検討中です。

顧客からの苦情に対して「お礼」を言うことの危険性

以前働いていた会社でのこと。同じプロジェクトに配属された若手から資料のレビュー(確認)を依頼されました。 

確認してみると、(丁寧にやっていれば避けられたはずの)不整合や誤りが複数あり、ちょっと目に余るほどだったので厳しく注意しました。

そうしたところ、彼は「ご指摘ありがとうございます」と返信してきました。

それに私はなぜかイラッとしました。

そして、そんなことが3回ほど続いた後、私はついに「いや、そこは『ありがとうございます』じゃないでしょ?」と強く叱ってしまいました。

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なぜ私はイラッとしたのでしょうか。

これは想像ですが「謝るべきときに謝っていない」からではないかと思います。人が謝ってほしいと思っているとき、そこでは「ありがとうございます」の感謝の言葉は代替として機能しないようです。(書いていて気づきましたが)「感謝」という言葉には「謝る」という字が含まれています。しかし、「感謝」をしても謝ったことにはなりません。

特に、彼はプライドが高かったのか、(最近よく見かける)「謝ったら死ぬ病」にかかっていた気があり、お詫びの言葉を言いたくないから、逃げ道として「ありがとうございます」を使っていたのが透けて見えたような気もします。だからこそ余計にイラッとしたのかも知れません。

また、「ありがとうございます」は、プレゼントを贈るとか仕事を手伝うなど「相手のプラスになることをしてあげた」場合に使われる言葉です。双方の良好な関係を前提として使われる言葉です。不満があって怒っているのに「ありがとうございます」と言われたら、普通の人であれば「別にプラスになることをしてやったわけじゃない!」と、神経を逆なでされた心情になるのかも知れません。

 

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そういえば昔、ある店で接客の大きな不手際があって迷惑を被ったので会計の際に伝えたことがあります。その際にも「ご指摘ありがとうございます」と言われ、何か違うよな、と思ったことがあります。「貴重な意見をいただきありがとうございます」というのもありました。いやいやお詫びが先でしょ?と思いますし、言うまでもなく、この店へのリピートはもう無いなと思います。

このようなお店、けっこう見かけます。「ありがとう」というプラスの言葉を使っているからいいじゃないか、と思い込んでしまっているのかもしれません。

「感謝の気持ち」は商売をする上でとても大切です。しかし、やはりお詫びのタイミングで使うのは逆効果なんじゃないかなと思うのです。

 

宣伝。8月7日に研修やります。

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「4時間があっという間」の理論研修、平日夜にやります。

ウェブサイトもこの度オープンしましたが、名古屋を中心に活躍されているタスクールが、このたび理論政策更新研修※を開始することになり、私も東京地区を中心として講師を務めさせていただくことになりました。

中小企業診断士の資格維持のために定期的な受講を義務付けられている研修(→ただし、我々の提供する研修は診断士以外の方の受講も歓迎です。あらゆるビジネスパーソンにとってプラスになる内容を提供します!)

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今回の立ち上げに向けて、研修をどのように提供すべきかを、タスクール代表の渡邉さんと議論を重ねてきました。いくつかのアイディアが出ましたが、基本的には「受講者ファーストな理論研修」を目指したものとなっています。

以下、理論研修について仲間の診断士からよく聞かれたニーズと、それに応える形で我々の提供する研修の特色を紹介します。


■よくある声①「サラリーマンなので平日の昼間は受講できない!」

特に診断協会の提供する研修は、平日昼間に開催されるものが多いようです(最近の東京開催のスケジュールを見ましたが約半分が平日でした)。独立診断士であればよいのですが、企業内診断士であれば会社を休まない限り受講できません。一方で、土日の開催は申し込みが殺到して受講できなかったり、そもそも土日はプライベートや家族のために有効に使いたい、といった声もあります。

特色①:そこで我々は思い切って「平日夜」というスケジュールを用意してみました。休憩含め4時間15分の時間を確保しなければならないということで開始時刻は非常に迷いましたが、「18:45に開始して23:00に終了」とすれば、近郊(8月7日の初回は神田で開催)で働く方であればなんとか受講できるのでは、と考えました。

仕事後にさらに研修受講か…とちょっと大変に思うかもしれませんが、飲み会に参加したつもりで時間と費用を提供いただければ、かならずそれに見合う有益なコンテンツ(そして受講ポイント)をもってお応えしたいと思います。

平日に受講してしまえば、土日をプライベートのために確保できるようになります。ぜひ参加をご検討ください。(もちろん、タスクールでは平日昼間や土日の開催も別途予定しています)


■よくある声②「平日だと急な残業で受講できないかも…」

診断士の方は大きな仕事を任されていたり、重要な役職についている方も多いので、急な残業で18:45に間に合わない、という可能性もあるかも知れません。

特色②:遅刻は15分までであれば対応可能です(終了後に15分の補講を受講すれば修了扱い)。諦めずにぜひお越しください。

また、どうしても当日参加できなくなった、という場合には、研修開始時刻までにご連絡ください。①手数料をいただいての返金 または、②手数料無しで他日程への振り替えが可能です。

(ちなみに東京の診断協会の研修は原則キャンセル不可。やむをえない場合は2営業日前までに連絡が必要。神奈川は当日1週間前からのキャンセル不可となっています)


■よくある声③「理論研修は4時間もあって長い…」

最近は民間機関による理論研修も増え、バラエティに富み、内容も魅力的なものが増えてきました。しかし、やはり4時間は長い、という声も多数聞かれます。

特色③:そこで私は「4時間があっという間!」な研修コンテンツを用意してみました。8月および10月に神田で予定されている研修は「コミュニケーションゲーム」がテーマです(「人狼」と言えばご存知の方もいらっしゃるかもしれません)。

シンプルかつ奥が深いルールとなっており、中小企業における人材評価・育成の新しい手法や事例を、楽しみながら学ぶことができます(というか非常に白熱します)。きっと、当日の終了時刻には「時間があればもう1ゲームやりたい!」と思われるはずです。

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また、タスクールでは他にもカレーのプロによる「カレーで学ぶ商品開発」など、ユニークなコンテンツをぐいぐい提供していきます。

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■よくある声④「近くで開催されない…」

東京や神奈川などの理論研修は日程も多く、まだ受講しやすいのですが、それ以外の地域ではそもそも開催が少ないため、すぐに満席になってしまったり、大切な私用と重なってどうしても受講できない、という悩みをよく聞きます。

特色④:タスクールではそのような地域にどんどん飛んでいきたいと考えています。私がいる東京や、タスクールがある名古屋のほか、ここ数ヶ月以内に関西や北海道、沖縄での開催も予定されています。もちろんそれ以外の開催も検討しています。

「ウチの近くでやってほしい!」というご要望がありましたらぜひご一報ください。

 

また、今後も受講者の声に耳を傾けながら運営のアイディアを出していきたいと考えています。ぜひ、お申込みをお待ちしています!

 

TOEICハイスコア取ったけど英語が話せなくて経歴詐称を疑われた話

■ある面接での屈辱

タイトルのとおり、TOEICで高得点、具体的には900点を超えたことがあります。

それだけ聞けば羨ましいと思うかもしれませんが、そのせいで僕は大変な目にあったことがあります。

900超えたよ、自分すごいじゃん、ということで、履歴書や経歴書でアピールしていたのですが、ある仕事の面接において、面接官から「じゃあ、ちょっとしゃべってみて? テーマは『これまで仕事で最も大変だったこと』でよろしく」と言われました。

しゃべってみるとしどろもどろです。上手く単語が出てきません。文法や構成もぐちゃぐちゃ。

なんとかしゃべり終えたとき、面接官が言いました。

 

「君、このTOIECの点数、ウソついてるでしょ? 正直に言ったほうがいいよ?」

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それからというもの、僕は本当に経歴詐称するようになりました。すなわち、仕事などで「TOEICどれくらい?」と聞かれたら「まあ、700点くらいですかね」と逆サバを読むようにしているのです。

そうでないと過剰に期待され、そしてその後にやってくるであろう落胆に、耐えられないからです。


TOEICに合う人・合わない人

いまさらですが、TOEICは「読む・聴く」のみを測る試験です。「話す・書く」の実力は測れません(TOEIC SWというテストは別に用意されていますが)。それでも多くの企業でTOEICを重視しているのは、それがある程度「話す・書く」にも相関がある、つまり「聴く読むがある程度できるなら、話す書くもそれなりにできるだろう」と捉えているからなのかもしれません。実際、TOEICがハイスコアでペラペラな人はたくさんいます。

しかし、私のように相関していない人もいるようです。TOEIC未経験の方や初心者からしてみれば、TOEIC900点=ネイティブ級、くらいに映るかもしれませんが、実際には私みたいにボロボロな人もいます。

TOEIC900点取ればペラペラになれる!僕もネイティブの仲間入り! そんな風に考えて時期が僕にもありました。しかし、実際には何も変わりませんでした。

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じゃあなぜ相関する人としない人がいるのかというと、私にもよく分かりません。適性やセンスの問題なのかもしれませんし、単純に学習不足なのかもしれません。たとえば私の受けた大学は長文読解一辺倒であり、リスニングも英作文もなかったので「読む」に偏って勉強してきており、アウトプット(話す、書く)の習慣が圧倒的に足りなかったのかもしれません。

(ちなみに「瞬間英作文」(後述)という本を使って3ヶ月ほど練習したところ、たしかにスピーキング力の改善を感じました。少なくとも学習で伸びる余地はあるようです)

 

皆様は、相関する人・しない人のどちらでしょうか。もし後者だとしたら、もしTOEICの点数が伸びても私のように経歴詐称を疑われたり、仕事で「TOEICのスコアはいいのに…ガッカリ」と言われるかもしれません。

(ちょっとマトリックスに整理してみました)

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■今年の目標はVERSANT 60点

さて、私はTOEICを目標にするのを止め、今はVERSANTという試験を目標にしています。

www.versant.jp

 

私も最近まで知らなかったのですが、このような試験です。

  • 電話やネットを使っていつでも受験できる
  • 約20分間。聞こえてくる設問に口頭で答える
  • 答えた内容がコンピューターで評価される
  • つまり、リスニングやスピーキング力、発音力といった総合的な英語力が必要
  • 楽天などでも導入されているらしい
  • 受験料5400円

(参考)楽天で導入

toyokeizai.net

これを知ったきっかけは、昨年10月にとある英語スクールに入ったことでした。TOKKUN English というところで、英語版ライザップのようなハードコア系コーチングサービスです。

www.tokkun-english.com

ここでの学習体験談もいずれ書きたいと思いますが、入学時に受験したVERSANTは42点(目安=「基本的な情報(仕事や経歴、家族、余暇など)について述べることができる」)でした。それが約1ヶ月後に47点、2ヶ月後の卒業時に49点になりました(目安=「身近な事柄において伝えたいことの要点を包括的に述べることができる」)。

満点が80点であり、1ヶ月勉強して1点伸びるかどうか、というものらしいので、2ヶ月で7点伸びたのはかなりよい部類だと思います(TOEICとは性質が全然別の試験ですがあえて換算すれば100点アップくらいには相当するかなと思います)。

実際、最初の受験では「それ、本当に英語?」と思うくらいに聞かれていることがわからない設問も複数あったのですが、卒業時の受験では、明らかに聞き取れる単語や文章が増えていました。自分のスピーキングも滑らかになっているのを感じました。

これを60点を取れば海外での会議で困らないレベル、とのことなので、今年はそこを目標にしようと思っています。英語塾でのアドバイスを受けて、今はこんな教材を使っています。課題は人それぞれだと思いますが、ご参考まで。

 

【リスニング力】
シャドーイングTED動画を用いて)

・英語耳

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・モゴモゴバスターズ(また別の記事で紹介したいですが、これは本当に良いです。TOEICなどのきれいな英語は聞き取れるけど洋画などはまるでダメという方向け)

www.mogomogobuster.com

・リーディング(TOIEC問題集やラダーシリーズ等いろいろ)

 

【スピーキング力】
・瞬間英作文

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【実践】
・レアジョブ

www.rarejob.com

・会社の会議(通訳がいるがなるべく英語を使う)
・外国人観光客のボランティアガイド(2月からやる予定)

 


どさくさ紛れに自著の宣伝。

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paperchase.hatenablog.com

高年収で一流の最強ビジネスパーソンはなぜ「記憶力」を大切にするのか

記事タイトルは東洋経済オンライン風に悪ふざけしてみた。「一流」とか「最強」とか乱発すると、逆に頭悪い感じになりますね。

さて、頭悪い・良いといえば、子供の頃は「頭が良い」とは「記憶力が良い」とほぼイコールでした。日本の受験は「詰め込み教育」「知識偏重」などと揶揄されますが、高校受験や大学受験では「記憶力」が求められ、私も合格するために(小論文などもあったものの基本的には)膨大な単語や公式を頭にインプットし続けた覚えがあります。

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それが社会人になると様相が変わり、「創造的思考力が大切だ」とか「論理的思考が必要だ」などと言われるようになってきます。受験とビジネスとでは求められるものが異なるのでそれも当然ではあるのですが、私は仕事を進めるうえで「記憶力」は引き続き重要な能力の1つであると考えています。

私は「論理的思考(ロジカルシンキング)」について研修で教えたり、自著で解説したりしていますが、実は論理的思考を活用するためには「記憶力」が不可欠なのです

その理由は、「論理的」とは要は「根拠を持って主張する」ということですが、根拠となる情報は「人の記憶」から引き出されることがあるからです。以下、自著より引用します。

晴れた日に出かけようとしたら、家族から「傘を持っていきなさい」と言われたとします。それだけでは、おそらく「どうして?」と言いたくなるでしょう。しかし、「夜の降水確率が90%もあるから、傘を持っていきなさい」と言われたらどうでしょうか。きっと「それなら持っていこうか」となるはずです。

この例では「傘を持っていきなさい」という主張を受け入れてもらうために、「降水確率が90%」という根拠を示したわけです。このように、何かを主張したいのであれば、データや情報による「根拠」が必要になります。

仕事も同じで、「○○をやるべきだ」と叫ぶだけでは、熱意は伝わるかもしれませんが、周囲はGOサインを出してくれません。なぜ○○をやるべきなのか、納得のいく根拠を示す必要があります。

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会社では教えてもらえない 生産性が高い人の思考整理のキホン

この「降水確率90%」にあたる情報(根拠)は、仕事では人から入手したりネットで見つけたりするほかに「自分の頭の記憶をたどる」ことが多いはずです。


たとえば私の目撃談(デリケートな話なのでいろいろフェイクを入れます)。

ある部署において「管理職が足りなくなってきたので1人課長に昇進させたい。山下さん(仮名)はどうか」という話になりました。現部長や課長が集まって話し合い、「勤続年数も長く、成果もそこそこなのでよいのでは」とのことで満場一致で課長に昇進させました。

しかしその2ヶ月後、山下課長は部下に対するセクハラとパワハラ問題を同時に引き起こし(いわゆる「セパ両リーグ制覇」)、すぐに降格させられました。

当然、社内では「なんであんなやつを昇進させたんだ」「見る目なさすぎ」といった会話が飛び交うようになり、その部署および部課長達に対する評判は一気に揺らぎました。

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実は兆候はあったのです、半年ほど前にも、山下さんはプチパワハラ的なトラブルを起こしていました。ただ、そのときは程度が軽かったこともあり、それほど大きな話にはなりませんでした。しかし、その時のことを部課長の誰かが思い出していれば、「彼は以前トラブルがあったようだから、ちょっと様子を見ませんか?」と言えたはずです。

主張「山下さんの昇進は様子を見るべき」

→根拠「以前プチパワハラを起こしたから」 

…と誰かが主張すべきだったところ、その根拠となる情報が忘れ去られていたため、主張できなかったのです。

 

同様のミスは他にも見られます。たとえば他部署ですでに同様のプロジェクトが走っていてそれを知っていたにも関わらず、重複したテーマのプロジェクトを立ち上げてしまい大いに作業のムダが発生した、という失敗を目にしたことがあります。それも「忘れていた」ことが原因で引き起こされた判断ミスです。

主張「○○のプロジェクトはやるべきではない」
→根拠「他部門のプロジェクトと重複しているから」 

…と誰かが主張すべきだったところ、その根拠となる情報が忘れ去られていたため、主張できなかったのです。

ここまで大きな失敗はそうそうないかもしれませんが、たとえば報告書などの文書作成において、上司から「XXXの件は考慮に入れているのか?」などとツッコまれ、「あ、忘れてました…」みたいなミスはどなたにもあるのではないでしょうか。


このように、記憶力を軽視すると、見落としてはいけない情報を見落として誤った判断を下してしまったり、仕事の品質が落ちることがあります。逆に、たしかな記憶力を持っていれば、判断ミスや品質低下を避けたり、より説得力を持った話し方ができるようになります。

創造性や論理性もたしかに社会人の必須スキルですが、かといって「記憶力」を軽視してよい、というわけではないのです。

大きな会社になればなるほど、持っておくべき情報量はさらに増えます。たとえば私のいる会社は従業員1万人くらいですが約70件のプロジェクトが同時に走っています。もちろんすべてを詳細に把握することはできませんが、プロジェクトの内容や状況など、見聞きしたことをなんとなく押さえておく程度でも、助けられることがしばしばあります。


もちろん、私達は忙しいので、受験生のように毎日机に向かったり電車の中で単語帳を使って仕事の情報を頭に叩き込むなんてことはできません。また、そこまでする必要もありません。

代わりに、気になった情報や今後自分の仕事に関係してきそうな情報は専用のメモファイルを作って書き留めておく、そして時々読み返すようにする。それだけでも他の人よりもはるかに「記憶力がいい人」「他の人が見落としがちな情報を見落とさず、根拠をもって鋭く発言できる人」になれるはずです。

単なる「メモ魔」や「情報コレクター」ではいけませんが、それを自在に使いこなせるようになったとき、きっとみなさんは社内で「なくてはならない人」になっているはずです。

 

なお、記憶といえば、(中小企業診断士試験などの)資格試験にチャレンジして「大人になっても暗記かあ…」と嘆いておられる方も多いかもしれません。

しかし、ここまで述べてきたように「記憶する力」を拡大しておくことは間違いなく仕事において活かされてます。それを信じて資格の勉強に励むことで、暗記や記憶に対するモチベーションも高まるのではないでしょうか。

 

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