メリットやデメリットをもれなく整理するには「経営資源」に着目する
工場に新しい設備を導入するか見送るか。新規事業を立ち上げるかそれとも既存事業に専念するか。私たちのビジネスは「決断」の連続です。そして、判断のためには、それぞれの選択肢のメリットとデメリットをもれなく洗い出さねばなりません。
また、営業の仕事に携わっている方であれば、自社の商品を買うことのメリットをきちんとお客様に伝える必要があります。「実は、こういうメリットもあるんですよ」と言うことができれば、お客様も身を乗り出すでしょう。
このように「メリット(&デメリット)洗い出し力」は、多くのビジネスパーソンにとって必須のスキルとなります。
しかし、洗い出しのうえでは、ぼんやりと頭で考えていても整理し切れません。表の形で書き出してみましょう。(宣伝になりますが、ご興味のある方は「思考整理のキホン」P108をご参考ください)
洗い出しに不足があると判断ミスにつながります。メリットを見落として「メリットが少ないからこの選択肢はナシ」と判断してしまったり、逆にデメリットを見落として損の多い選択肢を選んでしまうことになります。
メリットやデメリットを見落としなく洗い出すには「経営資源」の観点をもっておくことをおすすめします。
経営資源とは「会社の持ち物」のことです。よく「ヒトモノカネ」といいますが、この3つは代表的な経営資源です。ある選択肢を採用することによって、売り上げが上がるのであれば「カネ」への好影響があると言えます。従業員のモチベーションが下がるなら「ヒト」への悪影響があると言えます。このように、メリット(デメリット)=「経営資源への好影響(悪影響)」と考えることができます。
よって、選択肢のメリットやデメリットを洗い出す場合には「ヒト、モノ、カネ」への影響はどうか、という観点で考えてみるとさまざまなアイディアが出てきます。具体的には以下のような要素が考えられます。
ただし、余力があれば「無形経営資源」にも着目してみましょう。「ヒトモノカネ」は目に見えるので「有形経営資源」と言われますが、目に見えない経営資源もいくつかあります。
たとえば「情報」。有益な情報を持っていれば経営を有利に進めることができますので経営資源の1つと言えます。他には「ブランド」「顧客との関係性(絆)」「ノウハウ」などがあります。
たとえば、ブラックな企業経営をすれば、一時的に「カネ」は増えるかもしれません。しかし、「ヒト」のモチベーションや離職率は悪化します。人材の入れ替わりが激しければ「ノウハウ」も溜まりませんし「顧客」を連れて逃げる社員も出てくるでしょう。また、新聞沙汰にでもなれば「ブランド」イメージが下がります。このように企業の行動はさまざまな経営資源に複雑に影響を与えるのです。
慣れないうちは上記の有形・無形経営資源をリスト化して見ながら考えるようにすると、漏れが少なくなると思います。メリットデメリットの洗い出しにおいてはぜひ参考にしてみてください。
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