Paper-Chase's Prayer

コンサル&外資系金融での実務経験をもとにビジネス・仕事術系の雑感を書いていきます。

顧客からの苦情に対して「お礼」を言うことの危険性

以前働いていた会社でのこと。同じプロジェクトに配属された若手から資料のレビュー(確認)を依頼されました。 

確認してみると、(丁寧にやっていれば避けられたはずの)不整合や誤りが複数あり、ちょっと目に余るほどだったので厳しく注意しました。

そうしたところ、彼は「ご指摘ありがとうございます」と返信してきました。

それに私はなぜかイラッとしました。

そして、そんなことが3回ほど続いた後、私はついに「いや、そこは『ありがとうございます』じゃないでしょ?」と強く叱ってしまいました。

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なぜ私はイラッとしたのでしょうか。

これは想像ですが「謝るべきときに謝っていない」からではないかと思います。人が謝ってほしいと思っているとき、そこでは「ありがとうございます」の感謝の言葉は代替として機能しないようです。(書いていて気づきましたが)「感謝」という言葉には「謝る」という字が含まれています。しかし、「感謝」をしても謝ったことにはなりません。

特に、彼はプライドが高かったのか、(最近よく見かける)「謝ったら死ぬ病」にかかっていた気があり、お詫びの言葉を言いたくないから、逃げ道として「ありがとうございます」を使っていたのが透けて見えたような気もします。だからこそ余計にイラッとしたのかも知れません。

また、「ありがとうございます」は、プレゼントを贈るとか仕事を手伝うなど「相手のプラスになることをしてあげた」場合に使われる言葉です。双方の良好な関係を前提として使われる言葉です。不満があって怒っているのに「ありがとうございます」と言われたら、普通の人であれば「別にプラスになることをしてやったわけじゃない!」と、神経を逆なでされた心情になるのかも知れません。

 

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そういえば昔、ある店で接客の大きな不手際があって迷惑を被ったので会計の際に伝えたことがあります。その際にも「ご指摘ありがとうございます」と言われ、何か違うよな、と思ったことがあります。「貴重な意見をいただきありがとうございます」というのもありました。いやいやお詫びが先でしょ?と思いますし、言うまでもなく、この店へのリピートはもう無いなと思います。

このようなお店、けっこう見かけます。「ありがとう」というプラスの言葉を使っているからいいじゃないか、と思い込んでしまっているのかもしれません。

「感謝の気持ち」は商売をする上でとても大切です。しかし、やはりお詫びのタイミングで使うのは逆効果なんじゃないかなと思うのです。

 

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