Paper-Chase's Prayer

コンサル&外資系金融での実務経験をもとにビジネス・仕事術系の雑感を書いていきます。

上司や顧客に違和感・不安感を与えない、美しい「箇条書き」の作り方

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文章や文書を分かりやすく作るうえで「箇条書き」は不可欠です。
たとえば、

今日は営業会議に出て、得意先X社に行って商談して、Y社向けの提案書を作って、夜は部内の飲み会に参加。

といったダラダラした文章を

【今日の予定】
・営業会議への参加
・X社への来訪・商談
・Y社向けの提案書の作成
・部内の飲み会への参加

 というふうにスッキリ見やすくすることができます。拙著「思考整理のキホン」でも箇条書きの活用について解説しています(←宣伝)。

 

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しかし、この箇条書き、ただ並べればよいというものではありません。私もよく上司・先輩に指導されましたが、ときおり「美しくない箇条書き」が散見されます。

たとえばこのようなケースです。文書作成に慣れていない若手の資料ではよく見られます。

【売上低下の原因】

  • 魅力的な商品がないこと
  • 店員の接客スキルが低いため
  • プロモーション(販促)の不足

見事に文末がバラバラです。

上記の例であれば、たとえばこのようにするべきです。

 

【売上低下の原因】

  • 魅力的な商品がないため
  • 店員の接客スキルが低いため
  • プロモーション(販促)が不足しているため

こういうのもよいかもしれません。

【売上低下の原因】

  • 魅力的な商品の不足
  • 店員の接客スキルの不足
  • プロモーション(販促)の不足

いずれにせよ「文末を揃える」ことが、美しい箇条書きへの第一歩です。

もちろん「中身さえよければ、多少の言葉づかいなんて気にしない」という方もいます。しかし一方で「気にする」という方も一定数いるのです。

神は細部に宿る、です。

文末がバラバラなのが気になってしまって中身に集中できない方もいます。そこで「なんで、これ、揃ってないの?」と話の腰を折られ、プレゼンのペースを崩される、などということもありえます(経験者談)。いくら中身が良くても、そんなことでプレゼンがボロボロになってしまうのはもったいない限りです。

そして、細かい点にもきちんと配慮している点に気づき、書き手に敬意を払う方も確実にいます。私なんかが周囲を見る限りでも、こういう文末に気を配れる人ほど、やはり他の部分も丁寧なように感じています。

気をつけるだけで直せる内容ですから、それで数%でも評価を守る or 高める可能性が増えるのなら、それは着実にやっておきたいところです。


他に、箇条書きにおける「ふぞろい」としては以下のようなタイプがあります。

①「品詞」が揃っていない

【健康に必要な3要素】

  • 運動をする
  • 栄養の摂取
  • 休養を取る

のようなケースです。文末に動詞と名詞が混在しています。これは2個目を「栄養を取る」のようにに変えて動詞に統一すべきでしょう。


②「レベル感」が揃っていない

のようなケースです。最初の3つは犬の具体的な品種なのに、最後が「猫」と大きなレベルで書かれています。事前に内容を整理できていないことがまるわかりです。


③「順序」が揃っていない

【サラダを作るために必要な行動】

  • 野菜を洗う
  • きれいに皿に盛り付ける
  • 食べやすい大きさに切る

のようなケースです。本来は「洗う→切る→盛る」が自然な流れのはずですが、そうなっていないために妙なひっかかりを感じます。「並び順が変なのは、なにか意味があるのかな…?」などと気になりだしたら、もう中身には集中できなくなるでしょう。


顧客サービスにおける伝説的名著「真実の瞬間」には

「(飛行機内で)トレーが汚れているのをみて、お客様はジェットエンジンも汚れている(=安全管理がずさん)と想像するかもしれない」

といった記述が出てきます。人も会社も、すべての実力や品質を見ることができない以上、限られた部分を見て全体を評価するしかありません。そして「箇条書きの丁寧さ」も、そんな限られた部分の一部となってくるはずです。

読み手である顧客や上司に違和感や不安感を抱かせないために、まず「箇条書きを揃える」ことを意識してみてはいかがでしょうか。

 

自著の宣伝。こちらの記事↓もご参考ください。

paperchase.hatenablog.com

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会社では教えてもらえない 生産性が高い人の思考整理のキホン