シャドーイングは神勉強法。TOEICリスニング(ほぼ)満点と、アメリカ人役員へのプレゼンを実現。
先日、自社の本社(米国)役員に対してプロジェクトの成果を英語でプレゼンするという大舞台の機会をいただき、なんとかやり遂げました。
また、それ以外でも海外スタッフとの会議にて(部分的ながら)英語を使えるようになってきました。
また、直近に受けたTOEICは、リスニングが490点でした。
満点は495点なので、あと5点で満点ということになります。
それくらいに自分の英語力が伸びてきたのは、1年前に"TOKKUN ENGLISH" (今は"Progrit"に改名)というスパルタな英語塾に通ったことがきっかけです。そして、その中でも特に自分の英語力を変えたのは「シャドーイング」という練習法でした。
■かなりしんどいが効果の上がる「シャドーイング」
シャドーイングのやり方は既にあちこちで書かれていますので詳細は省きますが、「英語音声を聴いて数秒遅れてマネする」というものです。通訳になる人がやる練習法だそうです。
自分がやっているシャドーイングの様子がこちら。
プロの通訳の方の動画を見つけたのでこちらのほうが参考になります。
単なる聞き流しや音読と違って、シャドーイングでは「聴く」「話す」を同時に行うので難易度も高く集中力が要ります。口も疲れてアゴの筋肉が痛くなります。
しかしその分、確実に耳が良くなります。正しくマネしなければならないので、脳がより正確に聴き取ろうと作用するのかもしれません。(過去に聞き流し的な学習もやったのですが、リスニング力はあまり伸びませんでした。やはり漫然と聴くだけではダメですね)
TOEICのリスニングや、会社での会議が聞き取れるようになってきたのは、間違いなくシャドーイングを毎日30分×数ヶ月間続けてきたおかげです。
また、ネイティブの音声をマネするので、発音も改善されていきます。
私の先ほどのシャドーイング(今年12月に録音)と、次の録音(昨年10月に録音)を聴き比べてみてください。1年2ヶ月前のジャパニーズカタカナイングリッシュからいくらかマシになっていることがおわかりいただけると思います。
これが↓
こうなる↓
■シャドーイングに用いる題材
<TEDの音声を使う>
題材としては、そのスパルタ塾ではTEDを使っていました。この"GRIT"のプレゼンなど、内容も勉強になりますし、発音もきれいなので特にオススメです。
その塾では、これらの音声を30秒くらいずつ区切り、1パートにつき30分×7日間練習して徹底的に完コピするように言われました。何百回と繰り返すことになりますが、ネイティブの音声を自分の中に取り込むにはそれくらい必要です。
最初はボロボロだったのが、3,4日目でそれなりに音声の後を追えるようになってきます。しかし、そこで満足せず細部の発音や音の変化(Check it up→チェキラ、みたいな)にもこだわって「完コピ」を目指します。
同じ音声を3時間練習することで見えてくることがあるのです。あちこちの教材に手を出すよりは、短い音声を徹底的に掘り下げて極めるほうが収穫が多いです。「多聴」もやれるに越したことはありませんが、優先すべきは「ディープ・ラーニング」だと思います。
なお、TEDの音声は、それぞれの動画の「Share」からダウンロードできます。
また、自分はAndroidスマホですが音声ファイルの分割は「mp3cutter」で行っていました。
また、音声が速すぎる場合は「ミュージックテンポチェンジャー」でスピードを落としたり、AB間リピートで反復練習しました。
なお、発音の基礎をちゃんと学ぶ機会がこれまでなかったという方は「英語耳」などで学習しておくのをオススメします。口や舌の正しい動かし方を理解しておくことでシャドーイングも上達しやすくなります。
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<TOEIC公式問題集の音声を使う>
本番のTOEICと同じナレーターなので、その発音を自分のものにできればTOEICで有利になります。Part3や4が難しければ、Part2の短文を使ってもよいと思います。Part2は生活やビジネスで使われるフレーズも盛りだくさんなので、練習すれば英会話力アップにも繋がります。
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<好きなジャンルの動画を使う>
私は現在、好きなTVゲームの開発者インタビューを使っています。やはり好きなものでやると飽きにくいです。また、TEDやTOEICとは違って話し手はスピーチのプロというわけではないのですが、その分、リアルな会話の感覚や言い回しが得られます。
また、先ほど挙げたヒラリー・クリントンのスピーチも素晴らしいですね。クリアでシンプルで力強く、さすが(元)大統領候補、という感じです。このスピーチをシャドーイング教材にするのもよさそうです。
■シャドーイング学習上の注意点
長期間続けてきた中で感じた、注意点は以下のとおりです。
①確実に「1秒」遅れて話す
私もよくやってしまうのですが、音声を焦って追いかけているうちに、いつの間にか音声と同じタイミングに重なってしまっていることがあります。
重なっているということは、「音声を脳でいったん受け止めて、それを再現する」というプロセスがやれていないわけです。繰り返しているうちに英文を覚えてしまい、それを暗唱しているだけになっているわけです。それだとネイティブの発音が脳に蓄積されません。何百回も繰り返すので英文は自然と覚えてしまうのですが、あくまで「流れてくる音声を受け止めて、マネする」ところから離れてはいけません。
この「ズレして話す」感覚は非常に難しいのですが、前述のようにTOEIC Part2などの短文から慣れていくしかないと思います。
②英語の勉強だと思うな、モノマネの修業だと思え
流れている文章を同じように言えればよい、というわけではありません。音声をそっくりそのままモノマネして、ネイティブの発音を聞き取れるように&自分で使えるようにすることが、シャドーイングの目的です。
たとえば、"city"や"water"は、ネイティブは「スィリ」「ウァラ」みたいに発音します。しかし我々は子供の頃から使っている発音、すなわち「シティ」とか「ウォーター」が染み付いてしまっており、どうしてもそこに引っ張られてしまうのです。それを繰り返していてはモノホンの発音はなかなか身につきません。
私も最初は「ウォーター」だったのですが、途中から「とにかくそっくりそのままモノマネしよう」と意識を変えてから(専門的にはプロソディシャドーイングというらしいですが)、少しずつネイティブの発音が理解できるようになってきて、リスニング力と発音がより改善されていきました。
コロッケや栗田貫一に弟子入りして、モノマネで食べていくために修業している、来週はこのネタでモノマネライブに出演する、くらいの気持ちで話し手の発音やイントネーションを完コピしましょう(この意識を忘れないために、コロッケの写真をスマホの待受にしておいてもいいかも)。
③時々は録音してチェックする
音声のとおりに話せているつもりでも、録音して聴いてみると発音が雑だったり、細かい部分が言えていなかったことに気づきます。1日1回程度は録音してみないと自己満足に陥りやすく、成長のスピードが落ちます(最悪の場合は間違った発音が身につく可能性も)。
録音をするのとしないのとでは所要学習時間が倍違ってくる、それくらいに思っていてよいと思います。なお、私のスマホでは再生と録音が同時にはできないので、スマホで音声ファイルを再生しつつ、ノートPCや古いスマホで録音するなどしています。
④場所がなければお風呂でやる、サイレントでやる
1人でブツブツ喋るトレーニングなので、場所は限られます。私は昼休み中の誰もいない会議室でやるなどしていますが、スパルタ塾の先生は「お風呂でやるのオススメ」と言っていました。また、未確認ですが「口パク」でやっても練習効果はある、という研究結果もあるそうです。
ただ、個人的にはやはり声に出したほうがより効果あるかな…と思います。街中で歩きながらやっていても、すれ違う人には一瞬しか聞こえませんし、「電話でもしてるのかな」くらいにしか思いませんので、かまわずやっちゃいましょう。
⑤英語を使ってどうしたいのかを再確認する
シャドーイングというより英語学習全般の話になりますが、もっとも大切な「モチベーション」の話です。
英語力向上に「魔法の杖」はありません。「短時間の学習でペラペラ」みたいなサービスは信じないほうがよいです。結局地道に続けていくしかなく、私もこの1年で700時間くらい学習して、ようやく「仕事で多少使える」レベルまで到達しました。
何かを毎日続けて700時間、というのはよほどモチベーションの源泉となるものがないと続きません。「日本人の9割に英語はいらない」という本もありますが、英語をどうしても使わなければならない場面というのは案外ありません。私が以前いた大手コンサル会社でも、クライアントの大部分が日本企業なので英語ができなくても意外と働いていけました(もちろんできればチャンスは広がりますが)。
自分の場合は「外資系勤務」という、英語力がビッグチャンスや評価に超直結する環境にあり、しかも長年蓄積された英語コンプレックスもあったので、それをバネにして続けることができました。
自分も何度か挫折してきたのでわかりますが「英語が上手くなったらいいな」くらいの気持ちでは続きません。シャドーイングは本当に効果的な学習法ですが、「続けるためのモチベーションがどこにあるのか」を確認することが、学習を始める前にすべきなのかな、と思います。(たとえば英語ができると転職市場では大きく有利になります。これを源泉とするのも一案です)
年代別に見ると、TOEICを受けたことのない人の転職成功率を1とした場合、受けている人は、20代が1.21倍、30代は1.41倍、40代以降が1.11倍となりました。
これを見ると、特に30代でTOEICが転職成功率に大きな影響を持つことが分かります。
スパルタ塾では「たとえ勉強する時間がなくて単語やリーディングができない日があったとしても、シャドーイングだけは必ずやるように」と言われました。それくらいに重要で、英語力の根幹を鍛える練習法なのだと思います。
700時間=2時間×1年間ですが、そこまでできないまでも、やるなら1日1時間はほしいところです(でもそれだと700時間やるのに2年かかりますが…)。
メニュー例としては、以前紹介した瞬間英作文を交えて
- 瞬間英作文 15分
- シャドーイング 30分
- リーディング or 単語 15分
みたいな組み合わせが考えられます。先ほどは700時間と言いましたが、3,4ヶ月くらいでも少しずつ変化は感じられるでしょう。そうすれば習慣化とあいまって持続へのモチベーションも自然と出てくるはずです。